唄い、舞い、演じる、祭礼の日

  1. 佐渡の楽しみ方
  2. 佐渡の伝統文化
  3. 唄い、舞い、演じる、祭礼の日

祭りは春と秋に多く、神仏や祖先に五穀豊穣の祈りや感謝を捧げます。小さな集落がいくつもある佐渡は、その数だけ多種多様な祭りがあります。集落ごとに集まり、地域の担い手が唄や舞いを奉納するとき、旅人も地域の一員になって、祭りに参加してみましょう。

田の中央から、時計回りに苗を植えていく。田の中心には神様が降りてくるという

田の中央から、時計回りに苗を植えていく。田の中心には神様が降りてくるという

島の宝は稲の唄(国指定重要無形民俗文化財)

佐渡の車田植

さどのくるまだうえ

畦で歌われる「植えた車田は穂に穂に下がる」という田植唄に合わせ、3人の早乙女が田の中央から渦を描くように苗を植えていく。苗を車状に植えていくのは、「太陽の形」や「神が降りる目印」を表し、豊作を祈願したものといわれている。その後の稲刈り・乾燥・籾すりなどが他の田と区別して行われるなど、古い農耕習俗を伝え残す田植行事である。かつては、岩手県や岐阜県、高知県などにも同様の行事が伝わっていたが、現在ではほとんどが消滅しており、佐渡でも北鵜島の北村家でしか見ることができない。車田植えは毎年5月中旬から下旬頃、北村家の最も広いオオダと呼ばれる田んぼで行われる。

【開催地】 佐渡市北鵜島

【開催情報】 佐渡には農耕儀礼が多くあり、他にも白山神社の田遊神事や五所神社の御田植神事などがある。

大膳神社能舞台(県指定有形民俗文化財)弘化3(1846)再建。旧鏡板に残る墨書の記録から現存する佐渡最古の能舞台とされる

大膳神社能舞台(県指定有形民俗文化財)弘化3(1846)再建。旧鏡板に残る墨書の記録から現存する佐渡最古の能舞台とされる

佐渡最古の能舞台

佐渡大膳神社能舞台

さどだいぜんじんじゃのうぶたい

かつて島内に200ほどあったとされる能舞台だが、今は35棟が現存している。全国的に見ても多くの能舞台が残る佐渡では、昔から能楽が庶民に親しまれてきた。室町時代に能の大成者・世阿弥が配流となった佐渡であるが、能が実際に庶民にまで浸透したのは江戸時代のこととされる。猿楽師を父にもつ大久保長安が、能楽師を伴い佐渡に赴任。以後、金銀山の経済力を基盤に推奨され、庶民に浸透していった。今でも島内各地の能舞台では地元演者を中心に演能が催される。

【住所】佐渡市竹田561

【演能情報】毎年、初夏を中心に薪能が各地の能舞台で開催されている。

新穂日吉神社前で勇壮な鬼太鼓が奉納される

新穂日吉神社前で勇壮な鬼太鼓が奉納される

400年続く盛大な例祭(県指定無形民俗文化財)

新穂の山王祭

にいぼのさんのうまつり

新穂地区の山王祭は、周辺の6集落が集結して執り行い、山王七社の各神輿が新穂日吉神社の本社に参集する祭礼である。新穂日吉神社は、滋賀県大津市にある山王総本宮の日吉大社のうつしであると語り継がれており、山王七社や儀式の共通点から両社の関係を知ることができる。神社本殿で行われる僧侶の読経などからは、明治初期以前の神仏習合の時代、別当寺が神社の維持管理に深く関わっていた名残が垣間見え、周辺集落からの神輿の集結、鬼太鼓や獅子舞の門付け、流鏑馬の奉納などが見られる。祭礼の成立時期は不詳ではあるが、史書『佐渡志』などの記述から、天文~天正(1532~1592)年間頃には流鏑馬や神輿渡御(とぎょ)がすでに行われていたものと思われる。

【開催地】 佐渡市上新穂

  • 久知八幡宮祭礼神事

    中世の絵巻を見るような伝統行事(市指定無形民俗文化財)

    久知八幡宮祭礼神事

    くじはちまんぐう

    応永12(1405)年の史料に記録を残す、古くからの祭礼行事。9月13日の介添・射手の宮籠りから始まり、14日が夜祭りとなる。15日の本祭りには神殿行事、塩汲み、神輿渡御、流鏑馬などがあり、近隣の3集落から刀刀、鬼太鼓、花笠踊(県指定無形民俗文化財)などが奉納される。

    【開催地】佐渡市下久知

    【開催情報】 現在は9月15日に近い日曜日に本祭りが行われている

  • 佐渡の人形芝居

    島民による大衆娯楽(国指定重要無形民俗文化財)

    佐渡の人形芝居

    文弥(ぶんや)人形・説経(せっきょう)人形・のろま人形

    1人で1体の人形を操る、古浄瑠璃形式を基に独自の改良が加えられた人形芝居である。文弥人形は京都の文弥節を下地としている。説経人形は僧侶の説経に端を発した説経節が用いられ、最も古い人形芝居の一つとされる。のろま人形は佐渡弁を交えた台詞でユーモラスに演じられる。

    【上演情報】 島内の人形座は8団体ある

  • 善知鳥神社祭礼行事

    荘厳華麗な神輿行列(市指定無形民俗文化財)

    善知鳥神社祭礼行事

    うとうじんじゃ

    町内を巡る勇壮な神輿渡御(とぎょ)は、数千の提灯に法螺貝の響きと「チョウサヤ」の掛け声とが相まって荘厳華麗な光景となる。鬼太鼓は、元は金銀山の大工が鉱石を穿る所作に似せて太鼓を打ったものとされ、太鼓の音に合わせて翁面の豆蒔きが桝と柿を持って舞う。

    【開催地】 佐渡市相川

    【開催情報】 毎年10月19日

  • 小獅子舞

    東北の鹿踊りにも類似(市指定無形民俗文化財)

    小獅子舞

    こじしまい

    小木町(稲荷町)の小獅子舞は稲荷神社建立にあたり、京都の伏見神社より伝来したとされ、雄獅子、雌獅子、子獅子の3匹の獅子が、宮踊り・宮歌、町踊り・町歌を舞う。小獅子舞(小鹿舞)はこのほか赤泊・両津・相川でも見られる。

    【開催地】 佐渡市小木町ほか

    【開催情報】各地区によって日程が異なる