歴史を刻む寺社仏閣を訪ねる

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両津港佐渡汽船ターミナルのある、佐渡の表玄関となるエリアです。船を降りるとすぐに新潟県最大の湖「加茂湖」が見え、海岸線を北に走れば「大野亀」「二ツ亀」などの景勝地にアクセスできる、景観スポットの宝庫。

木造薬師如来坐像(国指定重要文化財) 平安時代 像高1.36m

木造薬師如来坐像(国指定重要文化財) 平安時代 像高1.36m

佐渡最古の寺院 創建:8世紀後半

国分寺

こくぶんじ

国分寺は天平13(741)年以降、聖武天皇の詔勅によって日本各地に建立され、全国に69カ所の国分寺があったとされる。佐渡の国分寺もそのうちのひとつである。七重塔が建立され、法華経なども納められたとされるが、正安3(1301)年に塔を焼失。享禄2(1529)年には本堂を焼失した。現在の建物は江戸時代のもので、寛文6(1666)年に建立された瑠璃堂には、平安時代の作とされる木造薬師如来坐像(国指定重要文化財)が安置されていた。(現在は瑠璃堂西側の収蔵庫に安置)創建当時の国分寺礎石が発見されたのは大正15(1926)年のことであった。その後発掘調査により、金堂・廻廊・講堂(新堂)・南大門・塔などの礎石が発見された。国分寺跡は、昭和4(1929)年に新潟県最初の国指定史跡となり、現在は史跡公園として保存整備されている。

五重塔(国指定重要文化財)江戸時代 全高約24m・初層の各辺3.6m

五重塔(国指定重要文化財)江戸時代 全高約24m・初層の各辺3.6m

県内唯一の五重塔がある 創建:弘安2(1279)年

妙宣寺

みょうせんじ

阿仏房日得上人により開山された寺で、阿仏房日得ははじめ遠藤左衛門為盛という上皇の身辺護衛にあたる北面の武士であった。順徳上皇に供奉して佐渡に渡り、上皇が崩御したのち、流されてきた日蓮に仕えて妻の千日尼と帰依した。そのため、日蓮の直筆の書簡が寺の宝物として残されている。寺では書簡の写しを見ることができる。境内には日光東照宮のものを模したといわれる五重塔(国指定重要文化財)がある。これは文政8(1825)年、相川の長坂茂三右衛門と金蔵の親子二代を棟梁として建立されたものである。建築様式は和様の三間五重塔婆で、屋根は宝形造桟瓦葺(旧こけら葺)、天辺に江戸風の相輪を備え、柱に杉材、上物に松材、組物に欅材が使用されている。

木造十一面観音立像(県指定有形文化財) 平安時代後期 像高約100㎝

木造十一面観音立像(県指定有形文化財) 平安時代後期 像高約100㎝

仏像や書跡を展示室に展示 創建:大同2(807)年

長谷寺

ちょうこくじ

長谷寺は地形が奈良の長谷寺に似ているので付けられた名前だという説もあるが、定かではない。佐渡に配流となった能の大成者・世阿弥も、長谷寺に参詣し、故郷(大和国)に思いを馳せたとされる。指定文化財を多く所有する寺で、展示室(一般公開)が6室あり、木造矜羯羅童子立像(県指定有形文化財)、木造白山女神坐像(市指定有形文化財)など数多くの像が安置されている。33年に1度開帳される、秘仏の木造十一面観音立像(国指定重要文化財)と同じ様式の木造十一面観音立像(県指定有形文化財)も、展示室で拝観することができる。本堂や庫裡、経蔵、米蔵、鐘堂など、江戸時代に建てられた建造物も多く残っている。また、花の寺としても知られ、春は桜、初夏は牡丹や紫陽花、秋は紅葉と、四季折々の表情を見せる寺である。

台徳院御霊屋(国登録有形文化財) 江戸時代中期

台徳院御霊屋(国登録有形文化財) 江戸時代中期

文化財建造物の宝庫 創建:大同元(806)年

蓮華峰寺

れんげぶじ

佐渡が京都の鬼門にあたるとして、比叡山にならい小比叡山として創建された弘法大師空海が開山したと伝わる名刹。弘法堂、金堂、骨堂は国指定重要文化財であり、そのほか境内16の堂宇伽藍は国登録有形文化財である。境内の仁王門に収まる木造金剛力士立像(県指定有形文化財)は、両像とも欅材で造られ、沈静でやや形式化した表情が、鎌倉時代の傾向を示しているとされ、蓮華峰寺興隆期の作とされる。境内の敷地は1haと広大で、初夏には、約7000株のアジサイが咲き誇ることから、別名「アジサイ寺」とも呼ばれている。

  • 小比叡神社

    蓮華峰寺の鎮守 創建:大同2(807)年

    小比叡神社

    こびえじんじゃ

    山王権現、白山権現、天満宮の三社が合祀された蓮華峰寺の鎮守であったが、明治元(1868)年の神仏分離令によって小比叡神社と改称した。本殿(国指定重要文化財)は寛永17(1640)年の建立で三間社流造、こけら葺である。手前の石鳥居には慶長13(1608)年に建てられた刻銘が残る。茅葺の拝殿(県指定有形文化財)では毎年2月6日に小比叡神社田遊び神事(市指定無形民俗文化財)が行われている。※田遊神事は令和2年から休止

    【住所】佐渡市小比叡185

  • 大蓮寺

    自身の相似顔がある五百羅漢 創建:応永28(1421)年

    大蓮寺

    だいれんじ

    越後の禅師・本嶽宗悟が創建したとされる曹洞宗の寺院。山門(県指定有形文化財)は上杉景勝によって落城した羽茂城(県指定史跡)の門で、焼失をまぬがれて移築したものとされる。また江戸の仏師・松尾勘左衛門作による五百羅漢があり、金箔などの装飾は能登の塗師によるものと伝わる。

    【住所】佐渡市羽茂本郷2075-甲

  • 正法寺

    世阿弥ゆかりの面が伝わる 創建:正中元(1324)年

    正法寺

    しょうぼうじ

    永享6(1434)年、将軍の不興を買って佐渡に配流となった能の大成者・世阿弥が身を寄せた寺である。寺には世阿弥が都から持ってきたと伝わる「神事面べしみ」(県指定有形文化財)が残されている。観音堂ほか5棟が国登録有形文化財となっている。本堂は、前廊下の天井に優美な海老虹梁が渡され、堂内には力強い木彫りの欄間が設けられている。

    【住所】佐渡市泉甲504

  • 長安寺

    平安期の阿弥陀像が伝わる古刹 創建:天長8(831)年

    長安寺

    ちょうあんじ

    茅葺の二王門(市指定有形文化財)には、慶派の作といわれる躍動的な木造金剛力士立像(市指定有形文化財)が安置されている。本尊の木造阿弥陀如来坐像(国指定重要文化財)は、檜の寄木造りで平安後期の作とされる。同じく平安時代の作とされる木造薬師如来坐像(市指定有形文化財)や、銅鐘(国指定重要文化財)など、古くからの文化財が伝わっている。

    【住所】佐渡市久知河内152

  • 清水寺

    樹齢400年の杉並木と舞台造りの本堂 創建:大同3(808)年

    清水寺

    せいすいじ

    参道両側に高くそびえる杉並木と石段の先に中門(市指定有形文化財)があり、正面に舞台付きの本堂(市指定有形文化財)が現れる。本山は奈良の長谷寺で、舞台造りも奈良の長谷寺と類似性があるといわれている。享保15(1730)年の棟札や江戸期の伽藍の様子を描いた「佐州清水圖」が残る。

    【住所】佐渡市新穂大野124-1

  • 牛尾神社

    名工の技が偲ばれる拝殿の彫刻 創建:延暦11(792)年

    牛尾神社

    うしおじんじゃ

    延暦11(792)年に出雲大社より勧請創建したとされる神社。拝殿は三方唐破風造りで、彫刻は島内外の名工が手がけた。龍、虎、獅子などの霊獣や動物、順徳上皇の遷御などが彫られている。境内にある能舞台(県指定有形民俗文化財)は、明治32(1899)年の火災で焼失し、同34(1901)年に再建されたと伝わる本格的な造りで、6月に薪能が催される。

    【住所】佐渡市新穂潟上2529